2012年のモノポリー名人戦を解説してみる(6)


●ゲーム全体のまとめ

序盤からグリーン・ダークブルーという一撃の威力が高いカラーグループに家が建つという状況でしたが、今回はほとんど止まることがありませんでした。

これに加え、追撃側の権利書が十分に揃わなかったことが結果的に結束を遅らせることとなりました。

 

中盤では、トップ目がカラーグループ手前という絶好の位置にいるのに、振り番が後である交渉相手もトップ目とほぼ同じ位置にいるために交渉ができなかったということがありました。

一方がすでに独占しており、独占済みのカラーグループと交換することにより交渉相手も独占できるという条件であっても、さすがに自分の前に家が建っているとすぐに家は建てられませんし、トップ目が通過して自分だけが止まるという事態も十分考えられますので相手は躊躇してしまいます。

逆に交渉相手に経営させようにも現金を持っていなければ揃えさせる意味がありません。

このように大局的にはトップ目を何とかしたいという思惑は一致するものの、交渉相手がリスクを全て引き受けなければならないという交渉の成立が困難な状況であるというジレンマが起こると交渉は不可能となります。

今回の中原さんと増田さんのイエローを巡るやり取りがまさに典型的でした。

 

また、家を抱えたレッド、イエローがなかなか崩れずにいたこともあり、大木さんの有力色への経営転換も難しい状況でした。

終盤で大木さんはライトブルー・ダークブルーを手に入れたものの、戦局を変えるまでには至らず、終了までグリーンは崩れることなく逃げ切ることができました。

 

 

●各プレーヤーについての寸評

・末村さん

序盤の権利書購入で優位に立ってからのグリーン独占という難易度の高い経営でしたが、他のプレーヤーの足並みが揃わなかったこともあり、逃げ切りに成功しました。

虎の子のオレンジを手放すことがなかったのも大きいでしょう。

 

・山本さん

中盤でレッドのみの経営に向かったものの家を増やすことができませんでした。

他のプレーヤーとしても建設支援をしたかった場面があったと思われますが、単独経営ではどうにもすることができませんでした。

 

・増田さん

イエローのみの経営でしたが、要所で支払いが重なり決定的な増築までには至りませんでした。

展開次第では大逆転もありえました。

 

・中原さん

中盤のライトブルー3軒オールでのスタートは他のプレーヤーとの兼ね合いもあり、やむを得なかったでしょう。

また、ライトブルー経営失敗後もオレンジを簡単に出さないという仕事を十分に果たしました。

 

・大木さん

権利書が買えないという厳しい状況の中、思い切って4鉄と端切れ権利書2枚を購入することで活路を見出しました。

順調に現金を増やしていったものの、経営転換のタイミングがなかなか訪れませんでした。

 

・柴田さん

序盤にダークブルーを揃えたものの、高額のレンタル料を得ることができないまま沈んでしまいました。

当たり外れの大きいダークブルーなので仕方ありません。