日本チャンピオンのテクニックを分析してみる

現日本チャンピオンの山本さんは史上二人目の日本選手権連覇の達成者ですが、その強さは長年培ってきた大局観と交渉の絶妙さにあります。

今回はチャンピオンのテクニックをいくつか分析していきたいと思います。

 

 

・カウンティング(相手の資産計算)

モノポリーでは相手の手持ちの現金を常に正確に把握することはなかなか難しいものです。

テレビゲームなどでは全員の現金の総額が表示されていますので一目瞭然ですが、実際のゲームでは基本的に紙幣は手に持ったり一か所に固めて置いたりするのでその場で瞬時に全員の正確な金額を計るのは困難でしょう。

このため、トップ目のプレーヤーや注意すべきプレーヤーなど資産計算の対象を1人程度に絞ることで精度が上がると思います。

 

 

・状況の演出

(1:28:13)手持ちの現金と公共会社2枚を抵当に入れてライトブルーにホテルを3軒建てようとするプレーヤーに対し、山本さんが抵当の公共会社2枚を120で買い取るという提案をしました。

(1:28:26)「2人で(トップを)追い詰めましょう」という一言も添えましたが、資産の総額を微増することとレッドを抵当に入れるなどして公共の抵当を解除するという意図は相手に見抜かれており、交渉は成立しませんでした。

ただ、共通の目標を用意して断りにくい状況を演出するのは立派なテクニックの一つです。

 

 

・焼け太りさせる

(27:25)相手がライトパープルの家3軒に止まり山本さんに450の支払いという場面です。

このプレーヤーは現金での支払いができないため権利書を抵当に入れようとしますが、山本さんが抵当のオレンジ2枚を渡す代わりに抵当のグリーン1枚と400という条件を提案します。

このように支払いの機会であるにも関わらず、権利書の売買に持ち込む方法は山本さんの得意とする方法です。

 

支払う側としては相手にレンタル料を払おうとしているのに、支払う額と同じかそれ以上の物が相手から出てくるため、初めてこの提案を受けた人は動揺するのではないでしょうか。

また、これは相手の即時経営もセットとなっているため、交渉成立後の相手に対してある程度縛りをつけることが可能になります。

焼け太りさせた相手が予想以上に伸びてしまうリスクもありますが、後述の分断と並んで有効なテクニックです。

 

 

・分断

相手がカラーグループを揃えるということになっても、それを行うことで別の危険を回避することができればその交渉を行った価値はあります。

(32:30)、(37:10)の2つの例は相手に権利書を揃えさせつつ、他のプレーヤー間で権利書が揃う可能性を絶つという考えで行われたものです。

また、相手からは現金の他に現金化可能な権利書も受け取っていますので十分な利益を得ることができたといえるでしょう。