チャンスと共同基金における現金増減の期待値

モノポリーにおける収入としては、GOマスの200ドル・レンタル料収入・権利書売却の利益の他に、チャンス・共同基金による現金収入があります。
それぞれのカードは16枚ずつあり、何が出るかは(1/16-x)の確率で表されます。


下記の表はカードが1枚も引かれていない状態での期待値です。
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表注:
①ゲームは5人で行うものとします。
②釈放券は50ドル相当の収入、「刑務所に入る」カードは50ドルの支出としてとして換算します。
③権利書のマスに移動するカードおよび「3マス戻る」のカードは現金増減の対象外とします。
④修理費による支払いは0ドルとします。


表にあるとおり、チャンスの期待値は+11.6、共同基金の期待値はスタンダード版で+43.8、ワールドエディション以降で+40.3となりました。
このことから、チャンスよりも共同基金のほうが期待値が大きいことが分かります。
チャンスでは現金収入はさほど期待できませんが、共同基金では一周で支払う平地のレンタル料分を払える程度の収入が期待できます。
とはいえ、期待値は50以下を示しているのでカードによる収入はあくまで臨時収入程度として考えておき、過剰な期待はしないほうがよいでしょう。

修理費対策は有効か否か

チャンスカードと共同基金には1枚ずつ「修理費」のカードがあります。
このカードは家を建てるほど引いたときの損失が大きくなる危険なカードです。



表1はカラーグループ1か所における修理費を示したものです。
・表1
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注目すべきは、チャンスの修理費は家4軒ずつ(家8軒または家12軒)とホテルが同じ額ですが、共同基金の修理費は家4軒ずつのほうがホテルよりも高いということです。
しかし、家4軒のほうが修理費が高いからといって常にホテルにするのは微妙なところです。


・表2
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表2のように家4軒からホテルにしたときに減らすことのできる費用とホテル建設にかかる費用を計算するとホテルを建設した方が費用が高くなり、結果的に家4軒ずつでいた方が支払いの額を少なくできるということになります。
このことから、修理費対策として家をホテルにすることは短期的には有効ではありません。

ただし、ホテルにすることはレンタル料の増加につながるため、わずかな費用の差であるダークパープル、ライトブルーなどは家止め目的がなければホテルにすべきでしょう。


※なお、対策としては奇策の部類に入りますが、ホテルを含んだ状態で家止めが成立している場合や、数か所にわたって家やホテルを建てていて修理費が不安な場合は思い切って家やホテルを売却する方法もあります。
特にダークパープルは家の軒数によってはレンタル料よりも修理費のほうが高くつく場合があるので、家やホテル(あるいは権利書そのものを)売却してその現金で他のカラーグループに増築してもよいでしょう。

同額の家の建設費で得られる平均レンタル料

表1は家の建設費と建設可能な軒数を示したものです。
・表1
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表2は表1の中から同額の建設費かつ家の数が均一のものを抜き出し、その平均レンタル料を比較したものです。
・表2
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この表から読み取れるのは以下のとおりです。

・600ドル使って家を建てるならばライトブルー
・900ドル使って家を建てるならばライトパープルかオレンジ
・同額の建設費で比較した場合、グリーンは他のカラーグループに比べて得られるレンタル料が低い

ただし、これは単に権利書の金額を比較したものであって、止まる確率や増築を考慮に入れていないことに注意してください。

家の建設費を回収するまでに必要な回数

下の表は家の建設費を回収するまでに必要な回数を示したものです。
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・表の見方
縦は一度に建てた家の軒数、横はカラーグループです。
この表で何回相手が止まれば建設費を回収できるかが分かります。
ダークブルーに家1軒ずつ建てた場合は「家1軒オール」とダークブルーが交差するマスを見てください。

増築をしない前提でダークブルー家1軒ずつの建設費を回収するには相手が2〜2.3回止まる必要があります。
この表の数字は1に近ければ近いほど建設費の回収に必要な回数が少ないということです。


この表から読み取れるのは以下の通りです。
・家1軒オールは建設費を回収するまでに必要な回数が最も多い
・基本的に家3軒オールの状態で相手が2回止まれば建設費回収または利益を上げることが可能になる

チャンスと共同基金が与える影響

ゲーム中において、相手があと2投程度で自分の土地に止まるというときに限って手前のチャンスや共同基金で移動系のカードを引き、別の場所に移動してかわされてしまうということがあります。
今回は最寄りのチャンスと共同基金が与える影響について考えてみました。


注:「最寄り」とはその土地から見て最も近い位置であるチャンスや共同基金のマスのことです。
間に挟まれている場合は「最寄り」としません。
ライトブルーであればチャンスはGOから36マス目、共同基金はGOから2マス目とします。


以下の表はチャンスと共同基金が与える影響を示したものです。

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記号              意味
◎  カードを引いて移動する
○  直後の1投で止まる可能性が相当ある(15%以上)
△  直後の1投で止まる可能性が若干ある(10%以上15%未満)
▲  直後の1投で止まる可能性がわずかにある(10%未満)
×  止まる可能性がなくなる場合
無印 直後の1投で止まる可能性がない


表を見るとチャンスと共同基金の影響を最も受けているのは15項目中8項目で×のイエローです。
アトランティック通りから見て4マス手前のチャンス、9マス手前の共同基金によって止まる機会が減っています。

次に影響を受けるのが15項目中7項目で×のダークブルーです。
止まる確率の低さは単に権利書が2枚だけだからということではありませんでした。

ライトパープルは×の項目が2つだけですが、チャンスや共同基金を引いた次の1投で止まる可能性が低いです。


逆にチャンスや共同基金の影響を全く受けないのが鉄道4社で、何を引いても次で止まる可能性があります。

また、ライトブルーはGOマスへ進むやボードウォークへ進む、オレンジは刑務所へ行けやセントチャールズプレースへ進む、次電水(電力)などのカードによって次の1投で確率的に止まりやすい土地に移動することで二次的な恩恵を受ける土地です。

距離別確率表

2つのサイコロの出目で最も出る確率が高いのは7であることから、家を建てるときは相手の7マスにある土地から先に建てるということがよくあります。
また、14マス程度離れていても、ゾロ目でやって来る可能性を考慮してあらかじめ家を建てておく場合もあります。
このように確率と家の建て方には関連性があります。
こういった判断は現金を減らすリスクとレンタル料の収入を両天秤にかけたときに行われます。


下の表はサイコロを振って止まる確率についてまとめたものです。
表にあるのはサイコロを1度振って止まる確率と1投目にゾロ目が出た場合の止まる確率についてです。
(注)・「距離」とはその土地までの距離です。
  ・ゾロ目は2度目までです。3投目は計算方法が複雑すぎたので断念しました。
  ・「刑務所へ行け」に止まる出目、位置が「刑務所へ行け」のマスに当たる場合は全て除外しています。
  ・カードによる移動は考慮していません。


・表1
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・表2
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・表3
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モノポリーにおける確率論

モノポリーにおける確率論は大別するとサイコロの出目に関するものとボード上の土地に止まる確率の2種類あります。

・サイコロの出目
サイコロの出目については36通り、最も出やすい目は3通り×2で6つある7(約16.67%)。最も出にくい目は1通りの2と12(約2.78%)。
ゾロ目の確率は6通り(約16.67%)。2回連続でゾロ目が出る確率は約2.78%。3回連続でゾロ目が出る(=刑務所に行く)確率は約0.46%。


・各土地に止まる確率
下にあるのは1人のプレーヤーがボードを一周する間に各土地に止まる確率を示したものです。
古くから使いまわされているものですが、確率的に有利なカラーグループと不利なカラーグループを理解するのはこれが一番分かりやすいと思います。


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この表を真に受けると止まる確率の最も高い鉄道が強いように見えますが、一投レベルで見るとその確率は6分の1≒16.7%(7マス離れている)から18分の1≒5.56%(2マス・12マス離れているとき)まで変化します。
あくまで大局的な確率であることを注意してもらいたいです。

また、1ゲームレベルでは「刑務所へ行け」のマスやチャンス・共同基金の移動系カードがあるため、さらに確率が変化します。
具体的には刑務所と「刑務所へ行け」の対角線でボードを二分した上半分の土地に止まる確率は高く(ただし、刑務所そばのライトパープルに止まる可能性は若干低くなる)、下半分の土地⊿に止まる確率は低くなります。

なお、手前にチャンスのマスがある土地(バージニア通り、マービンガーデンなど)は最終盤まで土地が売れ残ることもあります。